もへちゃん先生の学級通信の資料置き場

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沖縄慰霊の日 平和の詩 2011

沖縄慰霊の日 平和の詩 一覧

 今日6月23日は、沖縄慰霊の日です。

 過去の沖縄慰霊の日で読まれた「平和の詩」を探したら、ひとまとめになっているサイトがなかったので、ここ「もへちゃん先生の学級通信の資料置き場」にまとめようと考えました。

2011沖縄慰霊の日 平和の詩

幸せの1枚

浦添市仲西中学2年 嘉味田朝香


私の祖母が持つ1枚の写真

何年も経つけれど

忘れられない笑顔

忘れられない言葉

 

小学生の頃

先生がだした宿題

家族から戦争の話を聞いてくること

急いででかけた

祖母の家

 

祖母は何も言わず

棚の奥から

1枚の写真を

取り出した

 

古びた写真に写る

子どもたち

満面の笑顔の男の子

勝気そうな女の子

おとなしそうにはにかむ笑顔

豪快に口をあけた笑顔

たくさんの笑顔

1人1人の目は

未来を見つめ

キラキラ輝いている

 

「この人だぁれ?」

真ん中に写る女性を指さし

祖母に尋ねる

祖母は寂しそうに笑い

「わたし」

一言だけ答えた

 

1人1人の顔を

愛おしそうに

懐かしそうに

指でなぞるように

眺めながら
時が止まる

 

「この子たちは?」

ふたたび祖母に尋ねる私

「おばあちゃんの生徒たち」

「大切な大切な生徒達」

「みんなどうなったの?」

 

祖母は答えなかった

ずっと黙ったままだった

幼い私にも

祖母の深い悲しみが

深い苦しみが

痛いほど伝わった

 

長い沈黙のあと

祖母は

「どうして戦争なんかするのかねー

戦争さえなかったら

みんな幸せだったのに…」

 

私はもう一度写真を見た

みんな笑っている

幸せそうに笑っている

愛する家族がいたはずだ

たくさんの夢があったはずだ

大人になるその日を夢みていたはずだ

その笑顔を

幸せを

奪った戦争を

私は許さない

絶対に許せない

 

祖母は多くを語らない

私はあれ以来

あの写真を見てはいない

祖母の家に眠る1枚の写真

それにこめられた祖母の思い

もう何年も経つけれど

忘れない

私はずっと忘れない

 

私たちが忘れない限り

平和は続くだろう

だからこそ

忘れてはいけない

この地には

たくさんの笑顔が

たくさんの夢が

眠っていることを