もへちゃん先生の学級通信の資料置き場

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沖縄慰霊の日 平和の詩 2012

沖縄慰霊の日 平和の詩 一覧

 今日6月23日は、沖縄慰霊の日です。

 過去の沖縄慰霊の日で読まれた「平和の詩」を探したら、ひとまとめになっているサイトがなかったので、ここ「もへちゃん先生の学級通信の資料置き場」にまとめようと考えました。

2012沖縄慰霊の日 平和の詩

礎に思いを重ねて

沖縄県首里高校3年 金城美奈

 

月桃の花が白くきらめく頃

私はあの手紙と出逢った

 

それは祖父の兄が家族にあてた

一通の手紙

 

彼の人生で家族に送った最後の手紙

 

第三中学校から届いたその手紙には

戦争のことは何一つ書かれていなくて

勉学に励み

家族を思いやる

真っすぐな青年の心が記されていた

 

これから迫る黒い影とは対照的に

その手紙は温かく

誠実さで溢れていて

白い光で包まれているようだった

 

この手紙と出逢った後

私は初めて

彼の礎の前に立った   

 

礎に刻まれた

その名前

 

ぎらぎらと太陽に照りつけられた

その名前

 

指でなぞると

一文字一文字が焼けるように熱くて

あなたの思いの熱さが伝わってくる

 

私の心に伝わってくる

礎に刻まれたあなたの名前は 

とても小さくて

とても窮屈そうで

この文字では表せないほどの人生が

あなたにはあった

 

この文字では抱えきれないほどの未来が

あなたには待っていた

 

でも何もかもを奪われてしまった

 

あなたが過ごしたあの島は

地図に書かれたあの島は

沖縄から遠く離れていて

広大な海に囲まれている

 

あの遠い島から

あの広い海から

あなたはまだ戻らない

あなたはまだ戻れない

 

あの日から時は止まったまま

針は動かぬまま

あなたと同じくらいの歳を迎えた今

私は考えている

 

戦争について

平和について

 

でも

あなたと同じくらいの歳を迎えても

私は考えられない

 

遠い島で過ごすことを

家族と離れて暮らすことを 

私は考えるのが怖い

 

だけど

辛い現実と向き合った

あなたがいるから

私は今安心して一日を迎えられる

明日が来るのを待つことができる

 

今年も時を刻む

6月23日正午に手を合わせる私の肌を

柔らかな風が

そっと包み込み

確かな思いが溢れ出す

 

あの過ちを

二度と起こしてはならない

 

あの苦しみを

二度と蘇らせてはならない

 

人々の心に色をそえることができるなら

暗く沈んだ色ではなくて

明るく澄んだ色で彩りたい

 

人々の未来に

橋を架けることができるなら

先の見えない不安定なものではなくて

力強く進める丈夫なもので繋げたい

 

そして

人々の世界を一つの言葉で表すことができるなら

戦争ではなくて

平和であると断言したい

 

67年前を生きた人々の後ろに

私たちは続いている

私たちにできることは

あの日を二度と呼び戻さないこと

 

私たちに必要なことは

あの日を受け止めて語り継ぐこと

 

礎に刻まれた人々の

届けたかった思い

叶えたかった願い

 

私たちが届けよう

私たちが叶えよう

礎に思いを重ねて