もへちゃん先生の学級通信

一日お疲れ様です。もへちゃんクラスの1人になって、ちょっとホッとできる学級通信を読んでみませんか?

受験生へのアドバイス「入試問題の分析のしかた」

 受験前になるとよく話題になる「入試の傾向」。

 本屋さんに売ってる問題集にもその手の題がついているものもよくあります。大手の塾では独自で傾向を分析しているようですし、ネットを検索するとたくさん出てきます。

 そういうものを利用するのもいいのですが、もしあなたが中学校の先生だったら、一度自分なりに分析しておくと、子どもたちに話す際、言葉に力がこもります。

 もしあなたが福岡県在住の中3生自身だったり、中3生の子どもを持つ保護者なら、今回のブログは結構役立つはずです(^^)

 もしあなたが他県在住の方(中3生、保護者、先生…)なら「分析のしかた」そのものが役立つはずです。

 どういうことかと言うと、「数年分の問題を解いて、なんとなく傾向を感じ取る」というのは「分析」とは言えないと私は思っています(以前の私はそうでしたが…笑)。人を納得させられる表現力というのは、最近、文科省が求め始め2020年大学入試改革の目玉の1つ「思考力・判断力・表現力」そのものです。そして公立高校・私立高校ともにこれらの能力を測る傾向の入試問題が増えつつあるのは、福岡県だけでなく全都道府県の傾向です。

 「なんとなく傾向を感じた」と伝えるのではなく、はっきりとした根拠を述べながら「入試の傾向」を語ることは、子どもたちに「表現力」の具体例を示すことになると考え、通信で出してみました。

 そこで今回は、福岡県の公立高校入試の数学の問題の傾向を、中3生に向けて書いた2018年12月19日に発行した通信を紹介します。

分析

 福岡県の公立高校の数学の入試問題の傾向を探るといろんなことが見えてきます。

 例えば大問1の(1)には正負の計算が毎年出ています。

 えっ?そんなことわかりきってるって?

 けれど問題を並べてみると見えてくることがあるんです。

大問1の(1)について

2×(-4)+10   (2000年) 

9+3×(-2)  (2001年)

8+(-3)×2  (2002年)

(-2)×4+9  (2003年)

7+(-4)×2  (2004年)

(-2)×3+5  (2005年)

8+(-2)×3  (2006年)

4×(-2)+6  (2007年)

11+5×(-3)   (2008年)

7+2×(-3)  (2009年)

7+5×(-2)  (2010年)

10+3×(-2)   (2011年)

9+4×(-3)   (2012年)

1+3×(-2)   (2013年)

7+3×(-5)   (2014年)

6-2×(-3)    (2015年)

9+(-2)×7   (2016年)

13+3×(-6)    (2017年)

11+2×(-7)    (2018年)

 これらから言えること

  1.  分数は出ない
  2.  わり算は出ない
  3.  答はいつも1桁


 あっ、いけない!分析3については、2015年の問題の答が2桁でした。

大問1の(2)について

 同様に大問1の(2)を見てみましょう。

3(a+2)-(a-1)   (2000年)

5(a+1)-(a+4)  (2001年)

2(a+3)-(a-1)   (2002年)

4(a-1)-(a+3)   (2003年)

3(a+5)-(a-2)   (2004年)

2(a-1)-(3a-4)     (2005年)

3(a+3)-(2a+4)   (2006年)

2(3a+1)-(2a-5)  (2007年)

3(3a-1)-(4a-7)   (2008年)

4(2a-3)-(3a-5)   (2009年)

2(3a-2)-(4a+1)  (2010年)

3(2a-1)-(a-1)     (2011年)

4(2a-1)-(5a-3)   (2012年)

2(2a-5)-(a-3)   (2013年)

3(2a+1)-4(a+2)  (2014年)

2(3a+2)-3(a+1)  (2015年)

5(3a+2)-3(4a+6)   (2016年)

3(2a+3)-2(5a+4)   (2017年)

2(3a+4b)-(2a-b)    (2018年)

 これらから言えること

  1.  いつもカッコとカッコの引き算
  2.  分数、小数は出ない
  3.  2013年までは後ろのかっこのすぐ前に数字はなかったけれど、2014年~2017年までは後ろのカッコのすぐ前に数字が付いた
  4.  2018年、後ろのカッコのすぐ前の数字は無くなって2013年以前に戻ったけれど、文字が2種類になった。

 昨年までは「大問1の(2)は文字式のカッコとカッコの引き算が出ます。しかも出る文字は『a』です」と言って笑いをとっていたのですが…。

大問1の配点について

 もう少し役に立つ分析を書きましょうね。
 福岡県の公立高校入試の数学において大問1の配点は、この20年間ずっと約20点。全体の3分の1です。
 この傾向は変わることはないと思われます。
 さらに、入試後半に出てくる超難しい問題(偏差値70レベルくらい)の配点と、大問1の1問1問の配点とほとんど変わりません(1問2点とか3点程度)。
 だから、大問1の計算問題で満点を取ることは超大事なのです。

記述式の問題

 大問2~6についての福岡県の入試問題の特徴は、問題文がとにかく長いということが挙げられます。
 さらに2020年の大学入試変革の影響で、ここ1~2年、記述式の問題が増えてきました。
 例えば大問2はここ20年ほど、方程式の文章問題でしたが、2018年で「文字式の証明」に変わりました。
 「こんなにも大きく変わるなんて!!!」と私を含む福岡県の中学の先生たちはとてもびっくりしました。
 記述式の問題を解くために必要な力は

  1.  まず、長文の問題を短時間で正確に読み取る力
  2.  次に、正確に説明できる論理力
  3.  そのためには数学用語の意味を正しく知っていることや、普段から図や表などいろいろなもので説明するくせをつけておくことです。


 「配点」という視点で言わせてもらうと、大問2~6の中にちりばめられた「記述式の問題」の配点は、2017年は14点分でした。しかし2018年は20点、約3分の1になりました。
 この傾向はますます進んでいくと思われます。

数学が苦手な人が、県平均点をとる方法

 ここまで読んで不安になった「数学が苦手な人」、大丈夫です!
 私は高校で数学のテスト100点満点中8点をとっていた男ですよ(笑)
 そしてそこから這い上がった男です!
 そんな私が、数学が苦手なあなたにアドバイスをしましょう。

  福岡県の公立入試数学の平均点は約30点です。

  1.  まず大問1で満点をとればもう21点です(^^)。「大問1で満点」に向けては努力・努力・努力あるのみです!
  2.  そして次に点数を稼ぐ場所として、私のおすすめは図形の証明です。ここで5点。まず定理を片っ端から暗記しましょう。
  3.  次に、2017年以前だとさらに大問6で「ねじれの位置」を解いて2点だったのですが、2018年、「ねじれの位置」は大問1に入れられちゃいましたので、この技は使えません(T_T)
  4.  そこで出てくるのが「大問2~5の(1)を正解する」作戦です。

 これらを正解することで、残りの問題を一切解かなくても平均点、すなわち偏差値50の得点をとることができます(^^)

大問2~5の(1)を解く方法

 ただし大問2~5の(1)は、解説を聞いて解いてみると「な~んだ、こんなやり方でいいんだ」と拍子抜けするような問題なのですが、入試では自分1人で問題文の長文を読み、何を求めるべきかを理解する力が必要になってきます。
 では、読解力や表現力という力をどうつけていけばいいでしょうか?
 それは「普段から、『友だちに説明する練習』で付ける」です。

 数学が苦手な人に説明することで、苦手な人はわかるようになります。さらに得意な人は「思考力・判断力・表現力」を鍛えることになります。どちらにとっても得なのです。
 仲間を誰1人見捨てないことが、仲間のためだけでなく、自分のためにもなるんです。
 みんなで頑張りましょう!

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ちょこぴよさんによるイラストACからのイラスト

 もちろん紙面の関係で、分析したすべては書けませんでした。

 書けなかったことは、教科書を教え終わった後の1月~3月の授業で過去問を解かせるので、その際に少しずつ子どもたちに伝えました。

 また、1月~3月の授業でも『学び合い』の考え方で授業をすすめていましたので、子どもたちはどんどん教え合っていました。 

 

 ネットで調べるのとは違い、自分で分析するには、それなりに時間がかかります。

 私の場合は、ある年の冬休み、一念発起して、「①本屋で買ってきた福岡県入試問題集(5カ年分)」と、「②それまで毎年切り抜いてとっていた新聞に載った入試問題の記事」、「③数年前に買った福岡県入試問題集(5カ年分)」等、集められるだけの入試問題の過去問を集めて、問題を書き出して比較しました。

 調べてみると、ネットで分析してることとほぼ同じ結果になったりもしました。

 けれど、それ以外にも気づいたこともありました。

 一番の成果は、私自身が自信満々で子どもたちに語ることができたこと。いや、人を説得するための具体例を示すことができたこの通信が一番の成果かもしれません。