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私立前期入試前日に思う…「力」はつけるのか、引き出すのか

 私が勤務している地区では、明日、私立高校前期入試です。

 最近は、私立高校の専願入試がすでに終わっており、この時期、進路が決定している子がクラスの1/3ほどいることもあります。

 あっ、専願入試とは、 願書提出の際に「合格した場合は、この学校に必ず入学する」という誓約をするかわりに、入試では一定の点数が加算されるなどの優遇措置がとられる入試です。

 専願入試がなかった以前は、明日行われる私立高校前期入試(もっとも以前は前期・後期なんてのもありませんでした)が、人生初の入試って子がほとんどでした。

 そして、「専願」はないから、ほとんどの子が公立高校を受検していました。

 そんな頃に書いた通信(「学級記録No.85」1997年1月18日発行)を紹介します。

意思の力

 間もなく筑後地区の私立入試がある。

 今日の午前0時からだと、あと214時間、

 その4日後に◯◯高校、

 それから3日後に福岡地区の入試だ。

 今はそれ目指してみんながんばっていることだろう。

 けれども、私立入試はゴールではないんだ。

 ほとんどの人が公立を受ける(公立入試まであと53日)。

 けれども、公立入試もゴールではないんだ。

 

 私立にしろ、公立にしろ、高校に入ることが人生の最大の目標なんて人はまずいない。

 それよりも、もっと先の所に目標(すなわちゴール)がある。

 高校入試というのは、1つのハードルのようなものだ。

 ゴールに向かって走るとき、生まれて初めて表れたハードルなんだ。

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当時は手書きの通信だったので、イラストも手描きです(^_^;)

 そして、そのハードル(高校入試)は思ったより高い。

 小学生からの気分で、遊び半分では超えることはできない。

 ゴールを見据え、スピードに乗り、勢いよくクリアしてほしい。

 

 自分の中に「将来の夢」をしっかりと持っている人ほど、ゴールをしっかりと見据えていると言える。

 そして、本気で夢を実現させようと思っている人ほど勢いがある。

 

 1月4日に、最初の卒業生(23~24歳)の同窓会に行った。

 ほとんどの人が仕事をしているが、ほんの少数、まだ学生の人もいた。

 その中の1人が

「先生、今、僕は進路のことで悩んでるんです」

と話してきた。

「夢を追い続けるか、それとも現実的な仕事に就くか迷ってるんです」

と…。

 いつもの僕なら「信じればかなう。がんばれ」と言うけれど、

この時は「そうだねー、確かに難しいよな~」と答えた。

 彼自身が迷ってる状態では、夢をかなえるだけのエネルギーは出てこないからだ。

「どんなことがあっても、かなえちゃあ」

「3年経っても、4年経ってでも、10年かけてでも達成してみせる」

という強い意志を持っているからこそ、不可能が可能になるんだ。

 彼からはそんな熱を感じられなかった。

 だから「難しい」と答えた。

 

 「意思」のエネルギーは、ものすごいものがある。

 何気なく生きていた小学生の頃と、

「将来◯◯したい」という強い意志を持って勉強している今とを比べてみてごらん。

 学力がどんどんついているそのスピード、その量…

 君の持っていた力がどんどん表に現れてきている。

 

 この1週間で「1ヶ月分の勉強」ができる。

 私立が終わった後の1ヶ月で「半年分の勉強」ができる。

 そんなふうに本に書いてあった。

 

 僕の経験から言えば(大学受験の時)、2ヶ月で「2年分の勉強」ができる。

 (ただし、この時は数学だけが受験科目だった)

 

 「絶対通っちゃあ」という強い意思と、それに見合う努力(これがすごく大変だが)があれば、かなう。

 

 1時間で「3年生になったばかりの頃の4時間分の勉強」ができる。

 ただし意思がいる!

 

 今、読み返してみると「わかりにくい通信だなぁ」と思います。

 最後の1文の言いたいことを解説しますね(^^;)

 入試直前のこの時期、ほとんどの子はすごく集中している。

 3年生になったばかりの4月頃、嫌々勉強してたり、勉強をさせられていたりした頃の4時間分を、今なら1時間で軽々やれる。

 そんな意味です。

 

 さて、人権教育の中の言葉で「エンパワーメント」というのがあります。

 「その子の元々持っている力を引き出す」という意味で私は理解しています。

 そして私は人権感覚だけでなく、学力についても「エンパワーメント」という考え方で、子どもたちに話しています。

 それは私自身の経験にぴったり当てはまるからです。

 402人中、399番だった成績が、自分自身の力を引き出すことで、共通一次試験(今のセンター試験の前身)の自己採点では17番になりました。

 ビリギャルという本や映画がありますが、こちらも実話だそうです。

 ビリギャルの子も私自身も、その子の元々持っている力を引き出したって、私は理解しています。

 私は「力をつける」のではなく「力をつける」派です。

 だから通信の中では

君の持っていた力がどんどん表に現れてきている

と書いたわけです。