秋も終わり、冬になりつつある頃、中学3年生は自らの進路を決定しなければなりません。
普通科を受けるのか、工業科、商業科、農業科…を受けるのか。それとも仕事に就くのか。
昨年(2018年)の夏、たまたま見たテレビ番組で、タレントのイモトさんが安室奈美恵さんと対談をしていました。
その対談がとてもすてきで、進路決定の時期の中3生にいつか伝えたいと思っていたので、進路希望調査(最終版)を提出する初冬に学年通信に書くことにしました。
では2018年11月9日、中3生に書いた通信を紹介します。
ブレずに生きる
安室奈美恵さんが引退してまもなく2ヶ月。
と言っても私は安室さんの熱狂的なファンってわけではありません。
気分がいいときにONE PIECEの主題歌で、安室さんが歌っているhopeをくちずさむくらいのファンです(^^)
その程度の私ですが、夏休み頃に見たテレビ番組でイモトアヤコさんと安室奈美恵さんの対談を見て、なんてこの人は素敵なんだろうと思いました。
この対談で、イモトさんは安室さんに
「人生で一番大事にしていることは何ですか?」
と問いかけました。
安室さんは、
「ブレずに生きていきたいなとは思っているので、一度決めたことはきちんとやり通すことです」
と答えました。
イモトさんは
「カッコイイ。今の言葉、私もそうしてもいいですか?」
と切り返すと、安室さんは
「でも、そうされてらっしゃいますよね」
と返しました。
第3回進路希望調査を提出したあなたたちだからこそ、この言葉のかっこよさ、ビンビン感じるのではないでしょうか?
「将来、◯◯になりたい!だからブレずにまっすぐ突き進んできました」
そう言える安室さんはやはりかっこいいです。
私はと言うと、ブレまくりで生きてきました(笑)
中学時代から先生になりたかったわけではありません。
中3の今頃は、気象庁につとめて天気予報の仕事に携わりたいと思っていました。
きっかけは、単純です。理科の「天気図」の授業で、「録音された気象情報を聞きながら天気図を書く」というのがあり、そのとき書いた天気図を先生がほめてくれたからでした。
「僕には才能がある!?」と思ったわけです(^^)
高校の模試で、気象大学を志望してる全国の高校生の中でほぼ最下位だったため、天気予報の仕事に就くことはあきらめました。
※模試(模擬試験)…入学試験や資格試験の事前に受験者の能力を測定するなどの目的で行われる試験
気象庁の次はインテリアデザイナーになりたいと思いました。
きっかけはやはり単純です。美術の時間に書いた「幾何学的なデザイン」がことのほかよく描けて、先生からも評価されたので「俺には才能がある!?」と思ったわけです(^^)
ただし美術的なセンスではなく、飽くまでも「幾何学的なデザイン(下のようなデザイン)」しか自信がありませんでしたので、「インテリアデザイナー」だったわけです。
インテリアデザイナーになるにはどうしたらいいかわからなかった私は、自分の乏しい知識から「とりあえず大学の建築学部とかに行けばいいかな」なんて思い、模試の志望校・志望学科に近隣の大学の建築学部を書きました。
今の私なら「いろんな力を借りてでも、目標を達成しろ。大人でも、ネットでも、進路指導室でも!」と言うでしょう。しかし当時の私は、高校の先生たちをあまり信頼しておらず、進路指導室に行けばたくさんの資料があることも知っていながら、『誰が行くか、あんなとこ』なんて思っていました。
たくさんの力を利用していたら、建築学部以外のたくさんの進路を知ったはずなのですが…。
さらに、以前学年だよりミニで書いたことがあるかと思いますが、当時の私は学力的にかなり低い状態でした。402人中399番の時代です(^^;)
模試の結果はやはりさんざん。ということでインテリアデザイナーもあきらめました。
次に小学校の先生になろうと考えました。高校時代のバレー部の先輩の影響です。このことも以前書きましたね。
さらに中学の体育の先生→社会→国語→数学とどんどん将来の夢は変わり続けました。
そんなブレブレの私ですから、安室さんの生き方は「かっこいいなぁ」と思います。
でも、だからといって自分をダメだなぁとも思いません。
今、中学校の数学の先生をしていてとても充実しているからです。
自分にぴったりの仕事に就けたと思っているからです。
「充実している」という意味では、安室さんにも負けていないと思っています。
セルフイメージ、高いでしょ(^^)
中3生の初冬、進路希望調査(最終版)を出す時期は、これまでの15年の人生で「自らの進路を考える」ってことを本気で考えてこなかった子たちも、逃げることができない時期です。
小さな子どもは将来のことなんて考えず、その日その日を楽しく遊んで暮らします。砂場で夕方まで遊んでいた頃の私がそうでした。親に怒られるから仕方なく勉強していた頃の私がそうでした。「嫌いな先生だから」とその教科まで嫌いになっていた頃の私がそうでした。
そんな私ですが、中3の冬は自らのために勉強し、自分で信じられないくらい受験勉強にとりくめました。
だから、自分の将来のために、自分で考えて、自分で行動を選ばなければならない中3の初冬って「子どもの時代が終わる」時期だと私は思っています。