前回に引き続き、「これは使える」と感じた「時事ネタ」。
今回は、NHKのよるドラ「決してマネしないでください」を見ていて、こんな由来をさりげなく語れたらと思ったネタです。
前回のブログで紹介した通信同様、まだ未発信ですので、使えると思った方、どうぞお使いください(^^)
たかが「手洗い」、されど「手洗い」
NHKのドラマ「決してマネしないでください」は、科学好きで恋愛経験ゼロの主人公が、初めての恋に奮闘する愉快なラブコメディです。
その第3話では、科学の力でワインを美味しくしたり、安い肉を高級肉同様の味にしたりして、好きな女性の気を惹くことに成功します。
ふと、小学生だった頃、近所の大学生のお兄ちゃんが、「実験室で髪の毛から醤油を作って、豆腐にかけて食べてる」と言ったことを思い出しました。
さて、ドラマでは実験の後、食べる前に手を洗わなきゃということになりました。
すると大学の先生が「今は小学生でも知っている『手を洗うと菌が落ちる』、これを広めるために命をかけた医者がいたんです」と話し始めました。
目に見えない細菌のことがまだよく知られていなかった頃、ウィーン総合病院の産科医院長であるゼンメルヴァイスはある謎にとりくんでいました。
並んで建つ第1産科と第2産科、この2つの病棟は産褥熱の死亡率で大きな差があったのです。
患者「お願い、第1に絶対入れないで」
ゼンメルヴァイス「そう言われましても、設備も技術も同じですよ」
患者「第1に絶対入れないで、死んじゃう」
第1病棟に入ると死ぬという噂が広まり
「何なんだ。第1と第2、一体何が違うんだろう?」
「そうか、わかったぞ。実習してる学生が違う。」
「もしかして死体を触ると、何か悪いものが手に付いて、それを妊婦にうつしてる?だとしたら患者を殺してるのは医者!手を洗わなくては!!」
結果、第1病棟の死亡率は劇的に下がりました。そしてゼンメルヴァイスは英雄に…。
なりませんでした。
他の医者たちから
「医者が原因の訳がない」
「医者は高貴なんだから汚れているわけないだろう」
と反対にあったのです。
「手を洗わなければ。検死中に怪我した医者も熱を出して死んだんだ。絶対に死体には悪いものがいるんだ」
闘い続けたゼンメルヴァイスは、そして英雄に…。
なりませんでした。
ゼンメルヴァイス「手を洗ってくれ。洗うまでは誰も産院に入れないぞ」
院長「ゼンメルヴァイスくん、うるさい。君をこの病院から追放する」
「消毒で命が救えるのに、どうして手を洗わないんだよ」
結果、彼は壊れてしまいます。偉業が認められたのはそれから数十年後のことでした。
ドラマでは、ゼンメルヴァイスの話を聞いていたもう1人の大学の先生が「権威が、己を守ろうとして、新しい発見を潰した。悪しき慣例だな」とポツリ。
主人公の掛田くんたち学生は「そんなことが…」「手、洗いましょう!」
そして科学の力で美味しくなったワインやお肉を堪能しました。
たかが「手を洗う」ですが、それを広めるのに命をかけた人がいたことを知ると「たかが」とは言えなくなりますよね。
「こらぁ、手を洗えよ~」と指示する行為は、学校でよく見られます。そして子どもたちの多くは素直に洗ってくれます。
ひと昔前のように、学校現場は「荒れ」てはいませんが、「言ってもどうせ変わらない」「やってもどうせ変わらない」というあきらめを育てているのではないかという疑いが、内閣府の調査から透けて見えます。
このブログでもこの調査については何度も触れてきましたが、「指示待ち人間」を教育の場で大量生産しているのかもしれません。
だからこそ、手を洗う根拠を明らかにするのって大事だと思うのです。
「こらぁ、手を洗わんか~」と先生が怒鳴るのではなく、保健委員会等で保健委員長がゼンメルバイスを語りながら「手を洗いましょう」と訴える。そんな学校って素敵と思いませんか?
生徒会でとりくむには時間がかかりそうなら、私ならば通信等で子どもたちに根拠を明らかにします。
そして、もしできるならば、通信を配るだけでなく、ドラマ「決してマネしないでください」の一部(第3話で、ゼンメルヴァイスについてのやりとりは約3分20秒)の動画を帰りの会等の「先生の話」で見せて、「手洗い、しようね」って話すかなー(^^)
昼食前に「こらぁ、手を洗えよ~」と怒鳴るよりは、少しだけ指示待ち人間を減らすのに効果的かと思います。
ちなみに、第3話の最初の部分、ワインをメガネ洗浄機で美味しくしたり、安くてかたい牛肉に蛋白質分解 酵素(肉を柔らかくするパウダーなんかが売ってるらしいです)とレンジで溶かした牛脂を注射して、アイロンで焼いて作る霜降りステーキなんかを見てから、ゼンメルヴァイスの「手洗い」まで含めると8分30秒です。
たまにはそんな「先生の話」があってもいいと思いませんか?