もへちゃん先生の学級通信の資料置き場

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ジェットコースター的展開?…新型肺炎から緊急事態条項、スターウォーズ、そして谷川俊太郎

 ちょっと前、近所にあるアウトレットモールに行った際、韓国の人や中国の人であろう家族連れがたくさんいました。

 あの頃は、まだ新型肺炎もニュースになっておらず、何も気になりませんでした。

 その後、日に日に新型肺炎の患者数や死者数がセンセーショナルに報道されはじめました。

 先週行った床屋では、ご主人と新型肺炎の話になり

「迷惑ですよねぇ」なんて話しかけられました。

 心の中では

「いやいや、『中国の人=新型肺炎の患者』という見方は、まさしく偏見じゃん」

と心の中で思いましたが、

その人とは、じっくり話し込めるような仲でもないので

「いやぁ、中国だから都市を封鎖なんてできるんでしょう。日本だったらあんな思い切ったことできないですよ~」

と返事をしたら

「あぁ、確かに」

 これで会話が終わって、私は「やれやれ」と思いました。

 人が、差別につながるような話をするのは聞きたくありません。

 

 今朝の情報番組で「フランスでは、中国の人だけでなく、『アジア人だから』と差別があった」と言ってました。

 

 自分とは違う人を排除する考え方は、いじめや差別に育っていきます。

 その考え方が蔓延している社会では、差別する人が、いつのまにか差別される側にだってなり得ます。

 床屋のご主人が、もし今、フランスに行ったら…。

 ねっ

 

 さて、その情報番組では毎日のように新型肺炎をとりあげているのですが、

パネラーたちは、新型肺炎に対するとりくみが後手後手に回っている原因に政府の見通しの甘さや、現行法の限界なんかを言ってました。

 すると1人が

「こんなふうに法律が追いつかない事態になったら、きっと憲法改正案の中の『緊急事態条項』が必要だって言い出しますよ。気をつけないと」

と言いました。

 その次の日、さっそく国会で

「『このようなことがあったから緊急事態条項を新設しなければならないのだ』という議論を活発に行えば、国民の理解も深まるのではないか」

という発言があったそうです。

 あなたは、パネラーがなぜ「気をつけないと」と発言したか、わかりますか?

 そこで今回は、緊急事態条項について書いた組合で発行した通信「コーヒーブレイク第237号」(2016年6月7日発行)を紹介します。

 

映画◯◯◯◯◯◯◯から学べる?!緊急事態条項の危うさ

 

 緊急事態条項というのは、災害やテロなどの非常時に、内閣に権限を集中させたり、議員の任期を伸ばしたりするものです。

 確かに「災害やテロ対策は必要だ」と言われると、多くの人が「必要なんじゃないか」と思うかもしれません。

 しかし、内容を知ると…。

 と言っても、法律の文書は読むのは難しいし、国会議員の言ってることはどれくらい本当かわからないし…。

 そこで、ある映画の話をしましょう。

 その映画に出てくるある共和国は、多くの植民地を持っていて、貿易する際に植民地の国々に対して課税していました。

 それに抵抗して植民地から独立しようとする分離派が、軍隊を組織して戦争を仕掛けてきました。

 国の危機だということで、議会は非常事態宣言をして、議長に非常大権を与えて軍隊を創設しました。

 その際、議長は「非常事態が終わったら、速やかに非常大権を返上する」と言っていました。
 ところが、危機が去っても議長が非常大権を返上しないままでした。

 「フォース」という力を駆使して、正義と平和を守る役割の「ジェダイ」という騎士たちが調査したところ、議長こそが黒幕だと分かり、ジェダイたちは議長を倒そうとしました。

 

 わかりましたか?

 そうです、スターウォーズですね(^^)

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きなこもちさんによる写真ACからの写真

 映画では、ジェダイホープであるアナキンが狡猾な議長に騙されてしまいます。

 騙されたアナキンは、議長を倒そうとしていたジェダイたちを逆に殺してしまいます。

 いわゆる「ダークサイド」に堕ちてしまうってやつですね。

 そしてアナキンは名をダース・ベイダーと名乗り始めます。

 その後、議長は「共和国」を廃止して、銀河帝国の設立を宣言し、皇帝になります。

 そして「ジェダイが反乱を起こした」ということにして、彼らの虐殺を命令しました。

 

 映画の中では、非常事態宣言による最高議長への権力の集中も、帝国の成立も、議会で承認されました。

 「自由は死んだ。万雷の拍手の中で」という名台詞のシーンです。


 ただ、スターウォーズの非常事態宣言は、日本の現政権が作った憲法改正案の緊急事態条項よりは、手続的にはかなり民主的です。

 スターウォーズでは、議会で承認されなければ最高議長は非常大権を得られませんでした。

 日本の現政権の案は、内閣がまず自分で緊急事態の宣言ができてしまいます。

 

 「日本の現政権の案では『事後に国会の承認が必要』としているじゃないか」と反論する人もいます。

 「ちゃんと権力の暴走にならないように、歯止めはある」と反論する人もいるでしょう。

 しかし、与党が多数を占めている議院内閣制、そしてそれを可能とする小選挙区制の元では、政府の方針は国会ではそのまま承認され、全く歯止めにはなりません。

 小中学生がしたら「説教もの」になるようなこと(うそをつくとか、人に差別的な言葉を投げかけるとか…)でさえも、「忖度」という現象の中でうやむやにされるくらいですから。

 いい加減なことをした人が、そのまま平気な顔して居座り続けます。

 教育的に非常にまずい状態です。

 いけない、つい話が逸れてしまいました。


 スターウォーズでは、銀河帝国の成立から崩壊まで、実に20数年かかります。

 非常事態宣言のコントロールが効かなくなると、後で民主主義を取り戻すのがどれだけ大変かということが描かれています。


 現行憲法は、「民主主義だったら何をしてもいいわけではなく、憲法に違反してはいけない」という制限そのものだと私は思っています。

 それは私たち個人もそうですが、政府に対してもそうなのです。

 現行憲法の前文には

「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」

と書かれています。

 政府の行為にブレーキをかける役目が憲法にあるわけです。

 

 緊急事態条項を使い、権力者が確信犯的にやろうと思ったら、民主主義を終わらせることすらできるのです。

 

 スターウォーズでは、非常事態宣言で独裁者が出てきて、帝国になってしまった後、フォースに覚醒したルークが帝国を倒してくれました。

 しかし、残念ながら日本にジェダイはいません。 

 憲法が無視される立憲主義の危機なのに、助けてくれる誰かがいません。

 三権分立の考え方で言えば、「司法」がその役なのでしょうが…。

 日本の裁判所は、「極めて政治性が高いから」と憲法判断を回避して、政治に丸投げしてしまうことが多くあります。

 政府が「大変だ!緊急事態だ!」と言っている状況では、裁判所が判断を回避する可能性は高いでしょう。

 

 ジェダイがいない日本だからこそ、私たち1人ひとりが、事実を知り、危うさを感じて、正しい選択(行動)をしなければなりません。

 

 フォースのあらんことを!

 いやジェダイもいないし、フォースもないのだから

 ともにガンバロー(^^)/

ですね。

 

 いつも紹介している学級通信や学年通信ではなく、組合で発行した通信でしたが、いかがだったでしょうか?

 政治的な話題は、学級通信や学年通信にはそぐわないので書きません。

 しかし子どもたちには、詩「生きる」の中の一節

かくされた悪を注意深くこばむこと

ができる大人になってもらいたいと願っています。

生きる

          谷川俊太郎

生きているということ
いま生きているということ
それはのどがかわくということ
木もれ陽がまぶしいということ
ふっと或るメロディを思い出すということ
くしゃみすること
あなたと手をつなぐこと

生きているということ
いま生きているということ
それはミニスカート
それはプラネタリウム
それはヨハン・シュトラウス
それはピカソ
それはアルプス
すべての美しいものに出会うということ
そして
かくされた悪を注意深くこばむこと

生きているということ
いま生きているということ
泣けるということ
笑えるということ
怒れるということ
自由ということ

生きているということ
いま生きているということ
いま遠くで犬が吠えるということ
いま地球が廻っているということ
いまどこかで産声があがるということ
いまどこかで兵士が傷つくということ
いまぶらんこがゆれているということ
いまいまが過ぎてゆくこと

生きているということ
いま生きているということ
鳥ははばたくということ
海はとどろくということ
かたつむりははうということ
人は愛するということ
あなたの手のぬくみ
いのちということ

 

 ちなみに、この通信は次のブログを参考に書きました。

www.huffingtonpost.jp

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