私の住むあたりでは、2020年の入試のスケジュールは以下の通りです。
- 高専入試(1/18)
- 私立専願入試(1/21)
- 私立前期入試(1/31)
- 公立特色化選抜(1/24、1/27)
- 公立推薦入試(2/6~7)
- 私立後期入試(2/8)
- 公立高校入試(3/10)
今は、私立高校や一部の公立高校の合格発表も終わり、全体の2/3ほどの子が3月10日の公立高校受検に向けて頑張る時期です。
さて、私立高校などの合格発表で、全ての子が合格ならいいのですが、不合格の子もいます。
あなたが友だちだったら、不合格だった友だちにどう声をかけますか?
あなたが保護者だったら、不合格だった我が子にどう声をかけたらいいのでしょうか?
あなたが先生だったら、不合格だったクラスの子になんて話をしますか?
2011年2月15日発行の学級通信「学級記録 No.93」は、そんな不合格だった子へのメッセージです。
思いを語る
記録113
もうたぶんみんな知っとろうけど、うち、◯◯の看護科、落ちちゃった↴↴
普通科は合格です。
発表の日、先生が家に来る前に、同じ所を受験した友だちの結果を聞いとったんよね。
その友だちは合格しとったったい。
そして…先生が家に来て、通知を見た時、やっぱりこらえきらんで泣いてしまった(T_T)
ショックやった…。
普通科合格やけど、どうしても現実を受け止めたくなかった。
頭の中、真っ白になった!!!
みんなも発表あるけん、緊張するよね。
でも、合格でも落ちちゃっても、1回自分を褒めてあげて。
次に進めばきっと大丈夫だよ(^^)
きっとね(^o^)
やっぱ、専願で受かった人、うらやましいね。
でも、公立終わったら、みーんなで遊び行こ~♡
ストレス発散できたり、いろいろできる所にいこ~♡男子も女子もみんなで♡
あとちょっとだからがんばろーォ!
あと1ヶ月後には、楽しいことがあるぞーォ!!
けど、卒業だね(T_T)
イヤだ。あっという間の3年間。
うち、成長したよ、きっと(笑)
でも、まぢ成長したと思う。
体育会のリーダーとか、ちゃんとがんばったし、代議員も自分からなった…って言うのカナ?
でも代議員にもなったし。仕事してないけど(^^;)(笑 すべて◯◯◯◯くんやけど(^o^))
うちは本当に成長しました!!!!
みんなも成長したやろ?!
敬…尊敬する
愛…愛する
信…信じる
◯◯◯さんが4班の班ノートにこの記録を書いてきた。
辛いことを語るには勇気がいる。
◯◯◯さんの勇気は素晴らしい。
けれど、それは彼女の力だけじゃない。
「4班のみんなは、私の思いを受け止めてくれる」
と◯◯◯さんに思わせた4班のみんなの、日々のつながりがあったからだ。
僕はこの記録に、いつもの「あっぱれマーク」をつけた。
そして、◯◯◯さんの反応をドキドキして待った。
彼女の反応は
「出していいです」
だった。
何の迷いもなかった。
「3の7のみんなは、辛い思いを出しても受け止めてくれる」
そう信じてる◯◯◯さんの強さ、そして彼女にそう感じさせた3の7のみんなのつながりの確かさを感じた。
「辛」という字に、横棒を1本たすと「幸」という字になる。
辛い思いは、みんなにわかってもらい、みんなに励まされることで横棒がプラスされ、幸せになれるのかもしれない。
記録113の最後に書かれた「敬・愛・信」とは、この時勤めていた学校の校訓です。
校訓と言えば「勤労、規律、友情」なんて学校が多いのですが、この学校は違ってました。
今でも、とっても素敵な校訓だと私は思ってます。
そのわけを書いた通信も確かあったような…
見つけたら紹介しますね(^^)
さて、彼女はまず班ノートに自らの思いを書いてきました。
班の仲間に自らの思いを開示したわけです。
班の仲間は、次の日以降、彼女に様々な言葉を書き綴りました。
私は彼女の班ノートの記録に、「ゴジラが『あっぱれ』と言ってるゴム印」を押しました。
代々のもへちゃん組で使ってきたゴム印です。
この印が、連絡帳の4行日記や班ノートの記事に押してあったら、
「学級通信に載せたいけどいい?」
という意味で、
「『嫌だなぁ』と思ったら、班ノートが返された時点で言いに来てね、載せないから」
と年度当初に話していました。
彼女は言いに来ませんでした。
万が一ってこともあるので、確認したところ「出していいです」と答えてくれました。
この子たちは、『学び合い』の考え方を、授業作りや学級集団作りに活かした最初の子どもたちです。
担任である私は、もちろん不合格だった子にいろんな言葉をかけました。
でもそんな言葉より、クラスの仲間に声をかけてもらうこと、心配してもらうこと、励ましてもらうことの方が、彼女にとって何倍も「幸せ」になれるのです。
しかし、「思いを語り合え〜」なんて、担任が求めるだけでそんなクラスになるわけはありません。
『学び合い』の考え方に出会い、授業でも道徳や学活でもその考え方で進めたことで、子どもたちは安心してその場に居られるようになったのかもしれません。
班活動や班ノートで、班の仲間へ思いを巡らせる機会を増やしたことで、自らの思いを出しやすくなったのかもしれません。
そのことを表すかのように、この子たちは、記録113の中の
「みーんなで遊び行こ~♡ ストレス発散できたり、いろいろできる所にいこ~♡ 男子も女子もみんなで♡」
という言葉を実行しました。
「卒業後、みんなで近くの少年自然の家に行った」と保護者に教えてもらいました。
元担任の私には話はありませんでした(笑)
でもそれでいいのです。
「先生と子ども」のつながりは3年間ですが、
「友」とのつながりは一生なのですから。