私の勤務する地区での私立高校の前期入試は1月末~2月初旬です(その前に私立専願入試がありますが…)。
他県の私立高校の入試を受ける子もいたりすると、入試は1月末ではなく、もうこの時期(1月中旬)だったりします。
今回紹介するのは、まだ専願入試制度がない頃に「他県の私立高校受験のため、まわりの子より早く入試を迎えた子が、受験してる日」に発行した学級通信(「道のべNo.53」1991年1月12日発行)を紹介します。
支え
今、この時間◯◯◯◯さんは自分の将来のために最善の努力をしている。
3の6として初めての受験!
不安をたくさん抱いて机に向かっていることだろう。
昨日の帰りの会の時の「みんなからの言葉」は、きっと面接前にドキドキしてしょうがない時に思い出す。
「1人だけで受けているんじゃなく、みんなが応援してくれている」という思いは、とても安心させてくれる。
なんと温かいことだろう。
みんな、希望の道に進みたいのだ。
君だけで闘うより、心の部分に支えがある方がより強く闘える。
その思いが、君の班は強いだろうか?
39歩目
あしたは◯◯ちゃんの試験やけん、5班のみんなはけっこう協力したと思う。
でも、もう入試は始まったし、もうすぐ私も試験だし、もう、すぐにみんな進路が決まってくるけん、一日一日を大事に過ごさんと、後で後悔すると思う。
◯◯ちゃん、絶対合格しぃね。
◯◯ちゃんなら受かるよ~、たぶん。
がんばってねー
同じ班の仲間の進路を、君は本気で考えられるか。
まわりのみんなが、本気で考えてくれればくれる程、君は受験勉強をがんばれるだろうし、高校に入っても、夢を目指して3年間やりぬく強い意志ができるだろう。
では「本気で考える」ってどんなことだろう。
それは、「その人にとって今、大切なことは何かを考え、実行する」ことだ。
- 欠席した人のことを気にかけているか…「困るんじゃないか?」
- 遅刻の多い人の生活をわかろうとしているか
- ◯◯くん、タバコのにおいがする…このことをどう考えるか
- マンガを持ってくると読みたくなる友だちがたくさんいる…だから持ってくるべきか、持ってこないべきか
- 授業に集中していない人、おしゃべりしてる人がいる…その人の将来を考えたらほっておけるんだろうか。
- 服装や髪型を誇りにしている仲間に、「将来、何を誇りにするのか」を考えさせたか。今、何をすることが大人になった時の誇りにつながるのか。
本気で隣の人のこと、考えてるか?
私たち「先生」は、子どもたちが卒業してしまったら、その子に寄り添うことは、ほぼ不可能です。
「もへちゃん先生は、なんと冷たいのだ」と思われる方もいるかもしれません。
けれど、たとえ1人の卒業生に思い入れがあったとしても、4月からは新たに担任する子に寄り添わねばなりません。
新たに出会った目の前の子どもたちは、またそれぞれの生活を背景に、いろんな子がいるのです。
だからこそ、子どもたちの横のつながりを強くしておきたい
『学び合い』の考え方を知る以前は、漠然とそう思っていました。
今回紹介した通信を書いた1991年もそうでした。
この頃はまだ『学び合い』に出会ってませんでした。
『学び合い』に出会い、それまで漠然と思っていたことが、きちんと理論立てられていることを知りました。
そして、学級集団作りをさらに強く進められるようになりました。
「先生と生徒」のつながりを強めるのは、先生である私にとっては快感ですが、それでは20年後、30年後の子どもを救えない。
- 「生徒と生徒」をつなぐこと
- 「まわりの人とつながれる力」を学校時代に育むこと。
それを数学の授業で、いや、時間割の全てで育むことができるのが『学び合い』の考え方を活かした授業です。
全教科で可能です。もちろん道徳や行事でも。