こんな新聞記事を見つけました。
2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は3日、韓国国会の文化体育観光委員会が旭日旗の競技会場への持ち込み禁止措置を組織委などに求める決議を採択したことを受け「旭日旗は日本国内で広く使用されており、旗の掲示そのものが政治的宣伝とはならないと考えており、持ち込み禁止品とすることは想定していない」との方針を明らかにした。(THE SANKEI NEWSより)
一方で、FIFA(国際サッカー連盟)は、旭日旗を禁止しています。FIFAの規約のひとつ「スタジアム安全警備規定」第60条二項では「挑発・攻撃的行為の禁止」として以下のように定めています。
a)試合主催者は、地元の警察当局と連携しながら、スタジアムやその近辺で、サポー ターが挑発や攻撃的行為を行わないようにしなければならない。例えば、選手や審判、相手チームのサポーターが許容できないレベルの挑発や攻撃的なヤジや差別行為、さらには攻撃的、挑発的な内容を含んだ横断幕や旗などもこれに含まれる。もしこのような行為が行われたならば、試合主催者または警備は場内放送でこれに警告しやめさせなければならない。もしこれ得るらが、差別行為などの深刻なケースは警察に通報しスタジアムから排除しなければならない。
b)さらにFIFA加盟の全協会とクラブはこれに関連する規定や規約を遵守し、あらゆる手段をもってこれを未然に防止しなければならない。
サッカー部の顧問をしたこともある私にとって、日本人が世界で活躍するのはとてもうれしいです。世界で活躍する際に、差別の問題が切っても切れないように思いますが、FIFAは選手が最高のパフォーマンスを発揮できるように、人権諮問理事会(Human Rights Advisory Board)を設置し、独立した立場から人権に対するアドバイスを自らに提起し、しっかりとりくんでいる団体です。
そこでサッカー界が大切にしている、人権を大切にするとりくみについて書いた通信を紹介します。
日本のサポーター
2014年のワールドカップで日本のサポーターが、試合後にゴミ拾いしたことが世界中の話題になりました。
当時の海外掲示板reddittでの反応を紹介します。
- 1998年のフランス大会でもやってたよね。ナイスだよね。こんなファンがもっと増えることを祈るよ。
- 2006年のドイツ大会でもそうだよ。本当にいいサポーターだよな。
- 日本人のマナーってホント素晴らしいよね。
- さすが「世界最高の観光客」と言われるだけあるね。
- ドイツと日本は永遠に最高の友達だぜ!
- 非常に上品な人々だ。
- 尊敬するね。
- そしてこのスタジアムで一番ゴミを捨てなかったのも彼らなんだろうね。
- 試合に負けたあとに掃除するだって?こんな素晴らしい国が存在したんだね。
- 日本のサポーターにMVPを!
- 日本に住みたくなった。
- 自分の国が恥ずかしくなるよ。
そしてつい一昨日、同点に終わったワールドカップの日本 対 セネガルの試合後、スタンドでは、両チームのサポーターたちが大きな袋を持ってゴミ拾いをしたそうです。
日本の「美徳」が広がったと報道されていました。
やはりこういうニュースは誇らしいです。
けれど、その逆のようなこともサッカーの試合では起こっています
2014年3月8日の浦和レッズ 対 サガン鳥栖の試合で、一部のサポーターにより、人種差別・民族差別の意味に取れる「JAPANESE ONLY」(日本人以外はお断り)と書かれた横断幕が掲げられました。


浦和のディフェンダー・槙野智章さんはTwitterで、「今日の試合、負けた以上にもっと残念なことがあった…。浦和という看板を背負い、袖を通して一生懸命闘い、誇りをもってこのチームで闘う選手に対してこれはない。こういうことをしているようでは、選手とサポーターが一つになれないし、結果も出ない」と書きました。
試合中、警備員が撤去を求めたにもかかわらず、横断幕は試合終了まで掲げられていたため、クラブ側の責任も問われ、後日、浦和レッズにはJリーグ初となる無観客試合という処分が下されました。
下の写真は、Jリーグ初の無観客試合として行われた浦和 対 清水戦です。「静寂に包まれたスタジアムで選手は必死にボールを追った」と報道されました。
しかし残念なことはまだ続きました。
2017年11月19日に行われた試合で、浦和はアル・ヒラル(サウジアラビア)と対戦しました。
1対1の引き分けに終わりましたが、浦和レッズのFW ラファエル・シルバは貴重なゴールを決めました。
このゴールに対してラファエル・シルバのインスタグラムのコメント欄には、「猿」や「バナナ」、そして黒い色の足跡の絵文字など、人種差別的なコメントが増加しました。
これを受けラファエル・シルバは
「この世界にまだ差別主義者がいることを悲しんでいます。私は私の肌に誇りを持っています」と発信しました。
浦和もアジアサッカー連盟に対し事実を報告し、その後公式HP(ホームページ)で
「私たちは、私たちのファミリーである選手をいかなる差別からも守ります」
と、改めて差別撲滅に向け努力することを宣言しました。
浦和レッズは、2014年に差別撲滅に向けた行動計画『ZERO TOLERANCE(絶対許さない)』を策定し、クラブ内はもちろん、ホームゲーム時のスタジアムやホームタウン内の学校において、啓発活動を軸に取り組んでいます。
今後も差別を断固として許さないというFIFAをはじめとするサッカーファミリー全体の方針に共鳴しながら、この取り組みを推進してまいります
この決意どおり、浦和レッズは、「知って」→「感じて」→「行動」しています。
下の写真は「差別撲滅宣言に関するアンケートへのご協力お願いします」と観客に呼びかけながら、「人を劣っているとか、あんたのほうが偉いとか言うのはやめていきましょう」と話し込んでいる場面です。


ホームゲームでは毎回、試合前に、差別的行為を認めないという宣誓書への署名をサポーターに呼びかけています。
この日本、この世界には、いろんな大人がいます。
残念ながら、差別をむき出しにする大人もいます。
私はそういう大人が差別する時の顔を見てみたいと思います。とてもとても醜いに違いありません。
そして私は、これからも差別をなくす側として、誇り高く生きていきたいです。
ねっ、FIFAってなかなかいいですよね。
「旭日旗は日本国内で広く使用されており、旗の掲示そのものが政治的宣伝とはならない」という東京五輪・パラリンピック組織委員会の主張は一見筋が通っているように見えますが…。なんだか自分の国のことだけを主張してるみたいですよね。
韓国や中国といった国々では、この旭日旗を今でも軍国主義の象徴とみなしている現実があります。サッカー記者の方が「多くの韓国や中国のサッカーサポーターに、サッカースタジアムに旭日旗があることをどう思うか」という質問をしてきたそうです。そのどれもが「ありえない」「その質問自体も失礼である」というような回答だったそうです。
このような相手に旭日旗を出すことは「挑発」以外の何物でもないとFIFAは判断するわけです。一国の自己主張のレベルではなく、もう一段上の世界レベルでものを見ているように思います。
だからFIFAは、規約「挑発・攻撃的行為の禁止…選手や審判、相手チームのサポーターが許容できないレベルの挑発や攻撃的なヤジや差別行為、さらには攻撃的、挑発的な内容を含んだ横断幕や旗などもこれに含まれる」に抵触すると判断し、旭日旗を禁止しているのです。
でも規約とか法律とか文章が長くって難しいですよね。中学生に東京五輪・パラリンピック組織委員会の主張を説明するなら、私なら次の例を出します。
靴で足を踏まれて「痛い痛い」と言ってる相手(アジアの国々の人)に「え、痛いですか?私は痛くないですよ?」って言ってる(東京五輪・パラリンピック組織委員会)
こんな大人になってほしくありません。
私が目指すのは「自分もよし、他人もよし」です😊