もへちゃん先生の学級通信の資料置き場

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沖縄慰霊の日 平和の詩 2000

沖縄慰霊の日 平和の詩 一覧

 今日6月23日は、沖縄慰霊の日です。

 過去の沖縄慰霊の日で読まれた「平和の詩」を探したら、ひとまとめになっているサイトがなかったので、ここ「もへちゃん先生の学級通信の資料置き場」にまとめようと考えました。

2000沖縄慰霊の日 平和の詩

祈 り

宮古高等学校3年 川満 町華

暑い夏の日

けだるい町に正午のサイレンが鳴り響く

その神聖な響きの中で

わたしは静かに目を閉じた

そして ふと

今ここに 生きているということを実感する

 

生命の歌は大気に溶けて

そこにある悲しみや喜び 願いを奏でる

大地を駆けてゆく夏の風の音

さとうきびのささやく声

渚にうち寄せる波の音

白い月桃の花のかすかなため息

 

それらは 魂たちの哀歌だろうか

その歌は サイレンの向こうから

途切れることなくこちらへ届く

わたしはじっと耳を傾け そして祈る

 

ここには

穏やかな時間が流れている

温かく包んでくれる家族や

共に励まし合える友達がいる

笑って話せる明日がある

これを「平和」と呼ぶのだろうか?

平凡な毎日は ただそれだけで愛しい

突然 わたしは

自分自身の中の生命の息づかいを感じた

身体中を脈々と流れる命の証

静かに燃えあがる炎のあたたかさと

力強く確かな鼓動が心地よい

 

DNAに刻みこまれた記憶をたどることは

過去の過ちや苦しみを顧りみることだ

すべての生命は連鎖していて

それが途切れることは決してない

 

無限に続く生命の歴史の先端にわたしはいる

戦後五十余年たった今もなお

魂たちのため息が止むことはない

 

もっと生きたかった

生きたかった

一つの生命には無限の可能性がある

だからこそ

誰でも未来を導く

一筋の光になりうる

誰もが平和の使者になりうる

 

そして今 かつて人々が憎しみ合い 争い

殺し合ったこの地から

平和へのメッセージが放たれようとしている

 

ーどうかこの声が 全世界をかけめぐり

人々の心にまっすぐ届きますようにー

 

目を開けると

いつの間にかサイレンの音が止んでいた

雲一つない空を見上げて

「平和」という言葉を何度も反芻してみる

 

ー6月23日

今 ここに

生きているということを強く実感する